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「お前。その声。経堂寺か」
松風と呼ばれた男は少し驚いたように経堂寺を睨んだ。
「おー。ぼけて忘れてたんじゃないかなってちょっと不安だったわ」
経堂寺は腕を崩し、松風の下へと歩いて行った。
「(おい!姫川!なんだこの人は!!!松風先生になんて態度だ!!)」
「(し、知りませんよそんなもの!)」
夢咲のトロンボーン二人は相当びっくりしたようだ。
「まだまだ現役で夢咲の顧問やってるんだもんな。私がいた頃に比べたらだいぶ老けたじゃないか」
「……お前も相当老けたようだな」
「心にくるからやめて…」
経堂寺は手で顔を隠していた。
「経堂寺。ここにいるということは、指導者にでもなったか」
「いいや。今は顧問だとも。一条高校のね」
その言葉と同時にトロンボーンの二人はハッとした。
「(進藤のいる高校の顧問…!!)」
「伸び伸びと楽しくやってるさ。みんなバカだけどねー」
「……」
松風は特にそれから経堂寺に反応することは無かった。
「松風顧問。一条です。イチジョウ」
経堂寺は念を押すように松風にそう言っては松風の横を歩いて去って行った。
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