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「正味うかるとおもってたからさ!あはははははは!」
千尋が頭の後ろをかきながらアハアハと笑う。目は泣いていた。
健太は一度千尋を見て目を丸くする。そしてため息――
「馬鹿だなぁ。なんでそんなわけわからんことしたんだ?」
健太が心配気味に聞く。
千尋はブランコから飛び降りた。夕日によってできた影が健太を覆う。
「いや、本当に先生にも確実だって言われてたしさぁ……。まぁ正味余裕かなって」
千尋の顔が一気に曇る。
「あー、嫌なパターンね」
健太も苦笑い気味でブランコから飛び降りる。
「じゃあさ、吹奏楽ないとしてもだ、どっかの吹奏楽団とかには」
「県外」
千尋の即答に健太は開いた口をふさげなかった。
「健太……吹奏楽、捨てなきゃならないかもな」
健太は千尋からわざとらしく目をはなす。そして遥彼方を見つめるように黄昏る。
「お前から吹奏楽をとるねぇ。果たしてどうなるやら……」
「俺んちが大破する」
「事がデカいな、おい。なんで家族巻き込んでんだよ――」
「でも、聞いてくれ!」
千尋がいきなり健太の肩にしがみつく。 健太はいきなりの行動に少しびっくりし身をかがめた。
「楽器とかはさ……全部あるんだよ」
「…………はぁ?」
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