理由のためだけの存在

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「な………なにやってんだよ…お前ら………」 千尋が引きつり顔で 経堂寺の前に立つ いや、正確に言えば 経堂寺の前にいる進藤と剣山の手前に立っている 2人は千尋の存在に気づく 「まだあきらめてないのか。阿呆が」 「あ、お前………まだいたのかよ」 千尋はとりあえず進藤に襲いかかる 「てめぇも楽器吹くのあきらめてねぇだろがコルァァァ!」 「わめくな、猿」 2人が掴み合いになり 経堂寺と剣山はため息 剣山はため息と言うより驚いている どうやら進藤は今日も楽器吹きのため志願 剣山は、 なにしにきてるんだろ… 千尋はガルルルルと犬みたいに威嚇しながら進藤から離れる 「てか…剣山だっけ?なにしてんの?」 剣山はギクッとする 「ん?ああ、保健を教わりに…」 剣山が目線を泳がせる すると経堂寺がニヤニヤする 「えぇ?楽器吹きたいんじゃないのぉ?」 剣山は経堂寺を恨めしそうに睨みつける 「なんだってんだよ………別に意味はねぇんだよ」 剣山はむすっとして職員室を出て行った 「ち………2人ならいけると思ったのに」 進藤が悪だくみのごとく拳を固める なんなんだよ… 「なんか最近客が多いわねぇ………馬鹿率が高いけど」 経堂寺が両手で2人を指さす 進藤が千尋を指さす 「俺に指むけんなてめぇ………てか先生、客って このポーカーフェイス気取りみたいな奴ですか?」 進藤に指を向けながらなにげなく聞く 「あぁ、うん…まぁねー」 経堂寺はなにやらマズいことを言ってしまったようだ 進藤は千尋に対して頭に怒りマークがついたように睨む 「ほかに元吹奏楽部が………いるってことっすか!?」 千尋の声は職員室に響いた 進藤は耳をふさいでいる 「全員一年生だけどね………あぁあ、言いたくなかったな」 経堂寺が肩を落とす 千尋が首を傾げた
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