理由のためだけの存在

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「なんだー?多分そうだとは思うけど勧誘かー?」 先に言われた。 「え……あ……うん、はい?はい!」 「(馬鹿が……)」 キョドる千尋に進藤がため息をつく。 「あんたも良くやるね。なんのためにやってるわけ?」 剣山はそう質問しながら辞典の棚にもたれ掛かった。 千尋にはいくつか理由があった。もちろん、惜しげも無く言うに他は無い。 「ある程度人数が集まると楽器が吹ける!それに、青春だから!」 千尋は拳を前に突き立て恥ずかしげも無く言い放った。 進藤はそれを見て数秒静止したのち席を立つ。 「帰るわ」 「まてまてまてまてまて!」 帰ろうとする進藤を千尋が引っ張り引き止める。 千尋はそのまま後ろを向き剣山に言った。 「なぁ!楽器吹けるんだ!」 「ふっ……」 剣山が口に手を当て腹を抱え込む。一瞬吐き気でも感じたのかと2人は勘違いした。 「あっははははは!青春?そんなクセェ事言う奴初めて見たわ」 馬鹿にした笑い。というより何か楽しそうだと感じれる笑い。千尋は勝手にそう感じたのか、それには一切触れない。 「やろう!吹奏楽!」 「あっは……はぁー!楽器吹かしてくれるんだろ?ならやらなくもないかな」 剣山が腹に当てた手を腰に当て直し、少し照れたような顔をして千尋に言った。 「まじ!?やったぁ!!聞いたか進藤!」 「一々うるさい野郎だ」 進藤はまた首に手を当てだるさを見せるようにまた椅子に座り込む。 「一度言ったからには俺が楽器を吹くまでは止めさせない。それを理解した上で聞け」 剣山が進藤の近くまで歩み寄り「……おぅ」と何かためらうように返事した。 「俺、そこの馬鹿猿、そしてお前……別にあと2人、楽器を吹きたいと言いに来た奴らがいるらしいんだ」 「だれが馬鹿猿じゃ!化け猫が!」 「ん……まぁそれは分かったけどさ、それが何?」 剣山が疑問に思い進藤に食いつく。千尋は進藤に噛みつく。 「いててて…………とりあえず楽器を吹くためには後その2人を吹奏楽にいれなくちゃ吹かせてくれない訳だ…………って、いてぇなっ!馬鹿が!」 進藤が噛みつく千尋に痺れを切らし図書室内乱闘。 「えと……あのさ、1人知ってるよ」
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