理由のためだけの存在

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「だいたいあと6日だろ?何そんなに焦ってんだよ」 剣山が腕を組み千尋の前に立った。 「もし、もし遅れたらさ……」 「一々面倒な奴だ」 進藤が1組を出てすぐ右に曲がる。丁度2組から6組まで教室がある方向だ。 「4組だから。行くぞ」 進藤が一度振り返り2人を呼び掛けた。 「お前も結構面倒な奴だぞ?」 剣山が半笑いで千尋を引っ張り進藤の後についた。 廊下は食堂に行く人や売店まで競争する人たちなど、かなり賑わっており 千尋達の存在は無に近かった。 3人は4組の前に立つなり何故か静止。先に止まったのは進藤で困ったように千尋をチラチラ見る。 きっと『お前が先に入れ』って言いたいんだろう。 「えぇ!?俺かよ!!ここは剣山が……」 「俺、実はさ、4組恐怖症なんだ」 「嘘つけ。お前の知り合いなんだからそこは頼む」 進藤が剣山の背中を押す。 剣山は勢いよく4組に入っていった。
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