433人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日――
千尋はいつものように電車に揺られる。電車酔いをする不思議な特性があったが、毎日毎日考え事尽くしで入学時からいつしか忘れていたみたいだ。
その私立高校、距離は駅2つ分なものの、毎日毎日登校を繰り返すと一週間であきる。
さらには誰とも馴染めない喋れない楽しくない、との3打撃が待ってる故に足も動くのを嫌がる。
千尋はそんな事を考えながら電車を降りる。通勤ラッシュに多少揉まれ脚がよろける。
「(なんか…小さいことでもいいから…幸福を)」
千尋が死にそうな顔になった時、メールの受信音がなる。
マナーにし忘れていたみたいだ。千尋のお気に入り、たなばたの主題部分だ。
「誰だよ朝から、コーンフロスティをお茶で食わすぞ」
千尋が携帯を開けると画面には『受信:雪』との文字。
千尋は一緒で 嬉しいような照れたような顔になる。まさに天使が頭に舞い降りた様子だ。
普通に怪しい。
ちなみにこの雪という人物――
林雪【ハヤシユキ】
千尋と同い年で健太と同じで吹奏楽メンバー。テナーサックス担当。
千尋のパートナーであり、恋愛のパートナーでも一応ある。
中学の時は大して睦まじい仲ではなかったが、高校になってから ムカつくタイプのバカップルになった様子。
毎回のごとく千尋が馬鹿な故、林は手を焼いているみたいだ。
そんな林からのメール。
『やほー、おはよー。まだうちはクラブ始まってなくてさ、土曜日空いてる訳、でさ…』
まだ続きがあるが 千尋はここまで読むと 一秒で『もちOK』と打ち返した。
最初のコメントを投稿しよう!