理由のためだけの存在

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「えと、千尋であってんだよな……?お前こそ、なんで林知ってるんだ?」 剣山が困ったような顔で千尋に問いかける。神川が剣山の方を向き「あんた林から聞いて無かったの?彼氏だよ。六中とか言うとこの」と言ったが、剣山は頭に?マークを沢山浮かべていたようだ。 「……雪は、俺の学校の吹奏楽部員だ」 「いや、林はうちの所にいた部員だって。でも途中で――」 すると、剣山の千尋への返事を遮るようにして進藤が間に立つ。 「面倒な奴らだな。転校でもあったんだろが」 「んじゃ……お前ら雪の転校先の」 「そうなるのよ!あんた馬鹿でしょ。あとあんたも!」 神川が剣山の頭をバシッと音がなるくらいに叩く。もともと剣山の身長が高いので神川は背伸びをしていた。 「鷹見って言うのか。でも、なんでさっきみたいな事言ったんだよ」 千尋がまた神川を睨む。神川は平然とした顔で千尋へと返す。 「……あたしより上手いし。しかも、あたしの好きな人が林を好きになって……」 神川が急に小声になり俯く。 「それはお前が悪い」 進藤があまりにもストレートに言ったので剣山が口をふさぎにかかる。 「は?それって……」 「そん時アイツがあんたの事喋って断ったのよ。六中の新井千尋って、ね」 「んなの、お前が」 千尋が口ごもるようにグダグダと神川を否定するが、神川は真剣。 「うるさい。ウザイ奴の事ウザイって言ってなにが悪いのよ」 「おい待て、神川。お前林とめっちゃ仲良かったじゃ――」 「うるさいうるさい!あんたは黙ってろ!万年独り者が!」 神川はそう言うと剣山の腹にパンチを一発お見舞いし、そのまま教室に逃げるよう走っていった。 剣山は腹が本当に痛そうだった。
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