理由のためだけの存在

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3人は剣山の指示により場所を移し、千尋が剣山と会った渡り廊下に来た。 その場所は前同様、屋根が無く、春が終わりかけた、少し温い風が吹いていた。 剣山はその渡り廊下の真ん中に持たれるように座り、立ったままの2人を手招きで呼んだ。 「たしか千尋だよな、千尋って呼ぶぞ」 「いい加減覚えてくれ。それよりお前――」 「わかってるって。本当にお前、林の転校前の?」 「そうだって」 千尋がもう分かっただろと言う気持ちを表情に表し剣山へと送った。進藤はまたなにか興味深そうに顎に手を置き2人を見ていた。 「とりあえず分かった。ただな、アイツ、林と親友かってくらい仲良かったんだよ」 剣山が悩むように千尋に言う。千尋は剣山よりさらに悩むように目を上に向けた。 「じゃあなんでさぁ」 「それが分かったら今いうって。俺にもよくわからねぇし」 剣山が首を傾げ、ポケットにあるケータイを取り出し開く。ここまでの移動中、バイブでメールが来ていた事を知っていたらしい。 神川 件名:包丁かカッター 本文: さっきみたいな余計な事新井千尋に言ったらどちらかで刺す。 「なぁ、千尋。包丁とカッターってどっちのほうが痛くないかな」 「え?」 「カッターはブシャ。包丁はズブリだ」 進藤がまたいつもの顔で剣山に言った。剣山はすぐさまケータイを閉じ、2人に先程の話は無かった事にと土下座した。
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