自分に素直な自分

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桜井が手にしたクラブノートを見ながら言う。 いわゆるクラブの日記帳だ。 「『一年生が誰も入らなかった。あんな事があれば仕方ないかな。二年生も居ないし、今年一杯で廃部かな。』」 桜井が読み始める。 経堂寺含め全員聞き入った。 三年前の出来事がこの場所で語られる。 「なんか三年生も三人しか居なかったみたい……」 桜井がノートをパラパラっとめくる。すると桜井が急に「あ!」と口を開ける。 もちろん全員気にする。 「『このクラブノートを読んでる新入部員へ』」 「それって……」 千尋が呟く。 「読んでちょうだい、桜井さん」 経堂寺が桜井に指示する。桜井は頷き読み始めた。 「『どうも。吹奏楽部部長、金井です。どうやら今年で廃部らしく、非常に残念です。と、新入部員なんか廃部になれば入る見込みは無いんですが。顧問も翌年で転勤と言うわけで完全に吹奏楽部は姿を消します。ただ、ここにいる楽器達は唯一私たち、それから今までの先輩達を見てきて、尚も一緒に戦った仲間です。仲良くしてやって下さい。それと、もし部活が出来たら連絡して下さい』…………て書いてある後に電話番号書いてる」 「ダイイングメッセージか」 「いや、死んでないから」 剣山が千尋に突っ込む。 「かけてみたらどうだ」 進藤が興味有り気に経堂寺に言う。経堂寺もクラブノートを桜井から受け取るのち口元をにやつかせた。 「なるほど……なんだか盛り返してきたくなった……」 経堂寺が呟く。 「先生、それって」 「吹奏楽部、本気で作ってみようか」 5人は一斉にに経堂寺へと振り向いた。
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