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キラキラと光るうねった管体。魅力を放つばかりの金色の輝きを千尋はしっかりと握る。
「この感覚……」
キーのボタンを一気に閉めて、楽器を持った感覚を堪能する。
すでに様になった持ち方で軽くサックスを構えるように持つ。
横ではすでにスライドをかろやかにスルスルと動かし、構える位置を考える進藤。その顔には真剣さと楽しさが混じっていた。
トロンボーンは進藤のルックスと融合し、さらに魅力を見せていた。
そして、大きな銀色の塊を専用椅子に乗せ、ピストンをシャコシャコと動かす剣山。
もともと剣山が兼ね備えた存在感を、そのチューバがさらに引き立てていた。
さらに桜井と神川も楽器を組み立て終わり、2人してしっかりと構えてみせた。
黒の体にスリムな体系。まさに神川と同じ雰囲気を持つクラリネット。そんな神川が構えると、素人であろうと様になるようなぐらい 馴染んだ見栄えだった。
それに対するようにピカピカと光るトランペット。毎日笑ってるような桜井の性格とトランペットもまた綺麗に一致した。
最後に構えたのは桜井。それと同時に5人は経堂寺を見た。
「へー、かっこいいじゃん」
高校生5人が楽器を持ちズラリと並ぶとまるでバンド。
経堂寺は少しにやつきながら顎を軽く撫でた。
「吹いていいわよ?」
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