夢への布石

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音楽室まで楽器を運ぶ5人。 運ぶと一手も楽器保管室は音楽室の隣の音楽準備室の隣。 思ったより近い場所にある。 各々、楽器ケースを開けては組み立てていく。この流れを懐かしむように、5人ともノロノロと組み立てていた。 先に組み立て終わった進藤がトロンボーンを鳴らす。 千尋は手をとめ、しばらく眺めていた。 元々背の高い進藤にはトロンボーンは綺麗にマッチしている。 なんのためらいもなく、高音から低音までをスライドを自在に操り奏でる。 千尋は少し見とれていた。 「(前田や健太ばりに上手いな……と言うより、余裕でそれ以上……)」 すると、急に進藤が楽器を眺めにやけだした。 「きもっ」 千尋はつい口出し。 進藤はそれに気付いたのか少し顔を赤くして千尋に鬼の目を向けた。 「んだよー、楽器見てにやけるとかキモイだろがぁ」 「なっ……」 すると間にチューバを担いだ剣山が入る。 「まぁまぁ、進藤も。そんなにその楽器が良いのか?」 進藤はトロンボーンを腹の下までだらんと降ろした。 「……違う……」 進藤は顔が妙に赤かった。
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