夢への布石

10/13

433人が本棚に入れています
本棚に追加
/248ページ
「は?」 進藤はやっといつもの憎たらしい顔を千尋に向けた。 「いやー。俺そこ落ちたからここなんだぁ……あはははは」 そんな理由じゃなくて、何故そんな偏差値の高い高校を受けたのかが謎だ。 「なんで受けたの?」 「いけるって言われたから……それに行きたかったから」 すると剣山が千尋の肩を組み残念そうにした。 「お前、騙されたんだな……」 「えっ。何何!?俺ってそんなに……」 「馬鹿猿が……」 進藤が軽く笑う。 「とゆうか、進藤落ちたんだ……」 「俺はそんなに賢くない。勘違いするな」 進藤が立ち上がり、トロンボーンを手にとり構えた。 「俺は馬鹿だ。馬鹿だからそれなりに考えも馬鹿だ。だから、ライバルは“潰す”もんだって思ってる」 進藤がそのまま音楽室を出ようとした。出て行き際に 「なかなか上手くいないがな」 とだけ言い出て行った。 3人は唖然としたままだったが、桜井は中学の時に吹いたらしい曲を吹いて楽しんでいた。
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

433人が本棚に入れています
本棚に追加