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右腕を人質に捕られながらも必死に走った甲斐もあって、どうにか間に合ったみたいだった。
生徒用の玄関前は制服を着た生徒たちがワーワーキャーキャー騒ぎ合っている。
春休み越しの再会を楽しんでいるみたいだな。
ちなみに俺も咲月も帰宅部なので、春休み中にあまり同級生に会っていない。
久しぶりの友だちと喋るためか、校門前でようやく人質(既に感覚の無くなった右腕)も解放された。
俺たちが通う皆川高校は私立の共学高校。
みんなは略して皆高って呼んでる。
雨宮市の南にあるこの高校は町を一望できる小高い丘の上に建てられている。
元々は山だったのを切り開いて建てたらしく、運動場や校舎は広くて立派だ。流石は私立だな。
俺も久々に会った同級生たちと会話を交わした。
「生きていたのか?」だの「七瀬ちゃんとよろしくやってたのか!?」だの散々なことを言われまくる俺。
まぁ俺もそれなりに言い返してたけどな。
咲月も久しぶりに級友の女子と会話の華を咲かせている。
そういや咲月は休みの半分以上も俺の家に居着いていたからな、理由は知らないけど。
級友との再会もそこそこに、俺と咲月は今年一年の吉凶を左右するイベントのため、玄関前に出来た人だかりの間に無理矢理割り込むように、ただがむしゃらに突き進む。
この黒山の人だかりの向こうにあるのは掲示板。
一学年の名前が全て書かれた紙が一面に張り出された掲示板。
それはつまり…クラス替えが発表された掲示板ということだ!
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