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結局海原に頭に包帯を巻かれて処置終了、席は抵抗虚しく咲月の隣になっちまった。
一番後ろの列の左から二番目が俺の席。
窓際でもある左隣は咲月。
言う通りに隣に来てやったってのに…
「なんでお前は機嫌が悪いんだ?」
「うるさい」
「もしかして窓際は嫌なのか?だったら別に…」
「無駄口を叩くのはこの口?」
「いひゃい」
咲月は俺の頬を両方からつねって引っ張ってきた。
昔から口喧嘩になると咲月がつねって俺が黙る。
俺って弱いなぁ……
まぁそんなことはどーでもいい。
そんでつねったら、ほお杖をついて外の景色を眺めるんだよな…その姿が妙に似合う…
不機嫌な理由は知りたいけど頬が削ぎ落とされるのは勘弁だしやめておこう。
そんな居づらい雰囲気に耐えていると、教室の扉が開いて誰かが入ってきた。
「高城、その包帯は新手のファッションか?」
「入ってきてまずはそれか!?
包帯してたら怪我の心配するのが普通ですけど!?」
「あ~…知った顔もちらほらいるな」
「無視か!!」
「なんで俺が野郎の心配なんざしにゃならん」
「アンタ本当に教師か!?」
「教職試験なんざいくらでもごまかせる」
あれ~?今なんか聞いちゃいけない一言が…?
「とりあえず俺が担任の野宮蓮(ののみや れん)だ。
バレると面倒だから飲酒喫煙その他諸々はバレずにやれ、以上」
こんな規格外なことを平気で言ってるけど、一応俺たちの担任の野宮先生。
担当科目は世界史。心底似合わねぇ…
オールバックの髪型、鋭い目つきにとがった鼻、雰囲気や性格が教職に似合わないワイルドな男性教師。
まぁあの人の性格は校内でも有名だし、人気もあるからいいけどさ。
「あ~…この後は入学式があるからさっさと体育館に移動だ。
それと高城と七瀬は俺のところに来い」
一通りの連絡を終えたらしい野宮先生はさっさと出ていった。
「なぁ、俺たち何かしたっけ?」
「知らないわよバカ」
うわぁバカときたか…
まぁその程度で傷つく俺じゃない訳で、不機嫌な咲月と一緒にさっさと野宮先生を追いかけた。
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