6.臨時国会

1/4
前へ
/34ページ
次へ

6.臨時国会

国会内は激しくもめていた。 その状況は、テレビで生放送されており、先ほどの「世界の顔」に引き続き、高い視聴率となっていた。 『これはロシアの問題だ。我が国の自衛隊を危険にさらすことはない!』 国防省の大崎大臣である。 もともと得体の知れない施設を、近海に設置することでさえ、彼は反対していた。 その脇で、自衛隊総本部長、松阪は苛立ちを隠せないでいた。 『予算的に見ても、防衛費は削減を余儀なくされており、危険なリスクを負ってまで、出費することは避けるべきだ。』 国民党の橋田党首である。 彼は国の経理大臣も併任していた。 『しかし、ロシアからは救援の要請が来ているのは事実だ。彼らの主力は、今訓練のため遥か遠方にいる。嵐の中、救助に向かえるのはほんの僅かとのこと。』 首相の鷲崎であった。 彼は就任以前から、ラブと親しかった。 就任の前夜、ラブに、 『私は、正しい道にこの国を導けるかは分からない。だが、私を支持してくれる国民がいる限り、私は私の信念を信じ、貫いて行こうと思う。力を貸して欲しい。』 と胸の内を打ち明けた。 『鷲崎さん。あなたが国民から支持されているのは、その愛情の深さと、実行力です。あなたがやると言うなら、私はあなたに、この命を委ねてもかまいません。』 とラブは応えたのであった。 ~国会~ 『あんたは、いつも弱きを助ける姿勢だが、彼らが我が国の要求に頷いたことがあるかね?情に流された子供染みた判断では、この国は守れん!』 社会新党の染山党首である。 彼は、北海道の出であり、未だに北方領土問題を引きずっていた。 視聴者が見守る中、国会は、いつもの対立ばかりで、どうにも収集がつかない状況であった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加