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3.鬼のメイ
~孤児院~
港区にある孤児院の裏門に、ラブの車が止まった。運転手はアイである。
『ラブ、着きました。大丈夫ですか?』
彼女がボーっとすることは珍しい。
アイには、ラブがずっと、遥か彼方の銀河に、想いをはせている事が分かっていた。
『ありがと。これから子供達に会うのに、こんなんじゃダメね!先月は一箇所も行けなかったから、今月は頑張らなきゃ。』
ラブは、世界中の養護施設や、孤児院を毎月2~3箇所回り、子供達と触れ合ったり、問題や要望を聞き、それに応対していた。
先月は、ボスニア帰りに狙われた事が尾を引き、そうでなくても、正月明けはテレビやイベントに引っ張りダコだったのである。(エピソード1)
今日はメイの企画による、節分イベントであった。
ラブは、子供達に見つからない様に、裏口から入った。
メイは少し前に着いて、打ち合わせや準備をしながら、職員室にいた。
『ラブ!遅いじゃん!つか、何で私が赤鬼なのよ!!』
全身赤い服に特殊メイク。
頭に黄色い角を生やしたメイと思われる者が、正真正銘、真っ赤になって喚いていた。
『あら、その調子その調子。なかなか様になってるわね。だってね、子供達のスーパーアイドルが、まさか鬼じゃマズイでしょ。豆を投げつけられないでしょ?』
確かに、自分かラブか?の2択の場合、仕方ないとはメイも思っていた。
言い出しっぺとして、観念するしかない。
もっとも、メイが席を外した時に、企画委員たちが、
『うち(テラ)で一番鬼にふさわしいのは、メイだよなぁ。ラブをあんなに働かせるのは鬼だ!あれは仕事の鬼だ。』
と満場一致で可決されたのであった。
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