3.鬼のメイ

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小さなホールに怪しい音楽が流れ、ショウが始まった。 一流の特殊メイクをした赤鬼(メイ)が現れると、子供達は真剣に逃げ回った。 …少しリアル過ぎたかもしれないと、後でメイは反省した。 先生達が立ち向かったが、歯がたたない。 そこへ、まるでキューティハニーの様なコスプレのラブが現れた。 …少しセクシー過ぎたと、後でラブは反省した。 子供達は、本物のラブに会えるとは夢にも思っていなかった。 『ラブ!!ラブだ~。わぁ~ラブ。』 子供達のテンションは急上昇!全員がラブに殺到していく。 『よ~し、みんな!この豆で鬼を追い払っちゃおう!』 実は、鬼(メイ)の存在は、子供達の脳裏からすっかり消えていたが、ラブの声で想い出した。 子供達は、最強の味方(ラブ)が現れたことで、元気百倍!渾身の力を込めて、豆を投げつけた。 『痛っ!おいこら!痛いって!こらガキ!ラブ!あんたまで!』 子供達の大勝利であった。 節分イベントが終わってからも、暫くラブは子供達と話をしたり、遊んだりして過ごした。 最後には、感謝を込めて、子供達が、いつも歌っているラブの歌『独りじゃない』を歌ってくれた。 この歌は、親のいない子供達を勇気付けるために、ラブが作った歌であった。 ラブは、笑顔で力いっぱい歌う子供達が誇らしく思えた。 流れ落ちる涙を拭いもせず、微笑みを浮かべてその勇姿を目に焼き付けていた。 ふと見ると、隣の赤鬼も泣いていた。 歌い終わった子供達が、自信に満ち溢れた笑顔でラブをつめている。 『みんな、今日はありがとう。ラブは、みんなに勇気をもらったよ。助け合って、強く、真っ直ぐに生きるんだよ。そして、どうしても困った時は、「ラブ・コール」して!世界の何処にいても、ぶっ飛んで来るから!大好きだよ。みんな。』 子供達の間を、ラブはゆっくり、一人一人の目を確かめながら出ていく。 メイが後に続く。 すると一人の女の子がその手を掴んだ。 『赤鬼のお姉さん。痛くしてごめんなさい。ガマンしてくれてありがとう。来てくれてありがとう。』 メイも、実は孤児であった。 だからここの子供達の寂しさは良く分かっている。 止まりかけていた涙が、また溢れて来た。 メイは、女の子を思い切り抱き締めた。 それへ、他の子供達も押し寄せてきた。 その光景を見届け、ラブは車に乗り込んだ。
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