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キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が教室中に響く。がたがたっと音をたて、みんなが席に着く。
亜子は隣を見た。にこにことした表情で辺りを見回すメルがいる。
メルが自己紹介をしたあと、亜子の腕を強引にひっぱって強制的に教室へ戻ったのだ。
学校中の人は、メルが前からいた人のような扱いだ。
メルによれば魔法なんだそうだ。
「あの!亜子さん!お友達はいるのですか?」
突然メルが聞いてきた。
「いないよ。」
亜子は速答した。
「んじゃあ、まずはお友達づくりからですね♪」
ふふんと笑ってメルは黒板のほうを向いた。
「あのさ、あたしっていつ死ぬの?」
メルの言葉を聞き流して亜子は聞いた。
「詳しくは言えませんが、一ヵ月は大丈夫ですよ?」
「じゃあ何であんたはこんな早くからあたしを狩りにきたわけ?」
「それは、いきなり行くと、拒否して逃げる人がいたりするので、後悔がないように早めにいくのです。」
真面目にノートをとったままメルは答えた。
「ふうん。」
「なので、亜子さんにも後悔がないように、あたしがお友達を作ってあげますね!」
「―!?はぁ!!?」
つい大声を出して立ち上がった。
「こら、高杉!座れ!授業中だぞ。」
眼鏡を上下に動かしながら野元先生が亜子を睨む。
亜子は睨み返してどかっと席についた。
すぐ隣でメルは申し訳なさそうに亜子をみて頭を下げ、まわりの生徒の視線は亜子に集まっていた。
(最悪…💢)
亜子はしばらく不機嫌な顔をしていた。
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