0人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「…亜子さん、まだ怒ってます?」
昼休み、屋上で黙々と弁当を食べる亜子に恐る恐る聞いてみる。
「別に。」
低い無感情の声がかえってきた。
「怒ってるじゃないですか~!」
半泣きで亜子にすがりつく。
「うるさい!あんたもあたしに近づかないほうがいいよ。友達できなくなるって。」
大声を張り上げて亜子は言った。
「なんでですか?」
「あたし、嫌われてるから。一緒にいたらあんたも嫌われちゃう…。」
弁当箱を風呂敷に包み直しながらだんだん声を小さくして言う。
「優しいんですね。」
にっこりほほ笑みながらメルは言った。
「なんで!?」
亜子は驚いてメルのほうを振り向く。
「だって、私のことを考えてくれてるじゃないですか。冷たい人は他人のことなんて気にしないですもん。」
きっぱりとメルは言い切った。
「そ、そんなこと…//」
言われたことない言葉に戸惑いを隠せない亜子は視線をメルから外の景色に移した。
いつもとは違う輝きをもつ太陽に見入って、メルの話を聞き流す亜子だった。
最初のコメントを投稿しよう!