プロローグ-明けない地平線-

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少し薄暗く涼しい・・・・・と言うより寒い大地で僕は愛用の精霊銀(ミスリル)のツインソードを右に、左に振る。 異形の怪物の腕が肘の部分で斬れ飛び、黒っぽい鮮血が飛び散る。 「香澄ッ」 後ろに跳躍して化け物から距離をとった僕の声に一人の少女が頷き、左手に持った魔法杖を高く掲げ、右手の指で虚空に魔法の術式の基本である『コード』を描く。 それを見た異形の化け物は香澄と呼ばれた少女に向かって咆口を上げ、攻撃しようとするがツインソードに阻まれ、すぐにそれを断念する 「其は一。 五源の一つにして始祖の赤……」 虚空に『コード』を描きながら香澄は詠昌する。 「我が声に応え、灼熱の大気を以て全てを燃やして! 『怒れる火神-イグナイト-』ッ!!」 魔法杖(ルーンスタッフ)を高々と掲げ、虚空に灼熱の炎の塊を作り出し、香澄の魔法杖の先から異形の化け物に向かって灼熱の炎の塊が飛んでいく。 「ギャアアアアー・・・・・・・・」 火球となった炎が異形に直撃し、異形は断末魔の叫びをあげながら炎に呑まれる。 それに視線を向けたのは一瞬。すぐに背後から突き刺さる殺気に振り返らずに、前に跳躍する。 背中越しに空を切る音が聞こえる。振り返った先に両腕が刀の刃の様になった異形『リッパーデーモン』が腕を振りぬいた格好でこちらを睨んでいた。
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