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結局、調べ物は夕方になるまでかかってしまった。意外と時間がかかった事にソーラはむっとした顔付きで図書館をあとにした。ソーラはバイクに跨がると夕暮れに染まる街中を駆け抜ける。
しばらくの間、街中を飛ばしているとある看板を見つけ、その看板が立てられている店の前にバイクを止め、店内に入った。
『いらっしゃい…お若いの、今日はどのような品物をお求めなので…?』
店の奥の方から一人の老人が出てきた。年寄りとは思えない程の軽やかな足取りにソーラは一瞬、言葉を失ってしまった。
『銃弾だ。銃弾を二十ダース用意してくれ…』
『に、二十…?お兄さん、戦争でも始めるつもりなのかい?』
老人は驚きのあまり、声を張り上げてしまうがソーラは何も答えようとはしない。そんな彼の雰囲気に何かを感じたらしく、それ以上は問い詰めるのを止めた。
『兄さん…銃の口径はいくらなんだい?』
『八ミリだ。あるんだろうな…』
『勿論じゃ…儂を舐めないでほしいものじゃな』
老人は鼻を鳴らし、棚から銃弾のケースを取り出すと袋の中に詰め込む。ソーラはポケットから札束を取り出すと、それを老人に手渡した。
『お兄さん、代金よりたくさん入っておるぞ!』
『それは俺の気持ちだ。八ミリの銃弾を扱う店は少ないからな…。そこの金を店の改築にでも使えば良い。お世辞にも綺麗とは言えないからな…』
ソーラは無表情のまま、答える。ぼんやりとした老人を残して、ソーラは店を出ていった。
『こんなに沢山…。良くわからんが、あのお兄さんは悪い輩じゃないかもしれんな…』
老人は一人、嬉しそうに呟いた。そして再び店の奥のほうに姿を消した。
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