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男は言われた通りに部屋のドアを音を立てないようにゆっくりと閉めた。その間、瞬きもせず、朱い瞳で睨み付ける。
『君は依頼人に対しての礼儀がなっていないようだね、ソーラ=イワノフ君…』
男はにやりと笑いながら問い掛ける。ソーラはあからさまに嫌そうな表情を浮かべている。
『俺は人との交わりが嫌いなんだ…』
『見れば分かる。さっさと終わらせるつもりだから、先ずは腰を下ろしてくれよ…』
ソーラは渋々ながらソファーに腰を下ろした。それを見た依頼人の男はグラスを片手に歩み寄ってくると一枚の写真をソーラに手渡してきた。ソーラが視線を移すとそこには一人の少女が写っていた。
『誰だ?この女…名前は?』
『名前はアリア・エアハート。隣町のとある家の娘だ。この女を連れ去り、僕のところまで運んでもらいたい…』
依頼人はグラスの中身を飲み干すと目付きを変えてソーラを見つめる。
『ところで、何故この娘を連れ去るんだ?』
『君に教える必要はない。君は黙って僕の依頼を遂行すればいいんだ…』
依頼人の言葉にソーラはあからさまに嫌そうな表情になる。そんな彼の様子を依頼人は楽しそうに笑みを浮かべる。
『さて、僕の依頼を受けてくれるね。この部屋の宿泊代は僕が払う事にするよ。それじゃ、任務が上手くいくように祈ってるよ』
依頼人はグラスをテーブルに置くと部屋を去った。依頼人の後ろ姿を睨み付けるように見つめた。
『…嫌なやつだ…あの男…』
ソーラは不満げに言うと、写真に目を通した。
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