92人が本棚に入れています
本棚に追加
少女は金色の長髪に緑に輝く瞳で満面の笑みを浮かべている。どこにでもいそうな普通の女性にしか見えない。
『こんな女を連れ去って何をやりたいのか…いや、俺は何を言っているんだ?いつもらしくない』
ソーラは部屋の隅に置かれていた小型の冷蔵庫から酒を取り出すとグラスに注いだ。
『そもそも何故このような事を考えたりするんだ…らしくもない』
自分に言い聞かせるように言うと酒を一気に飲み干した。体の中を伝わり、段々と熱くなってくるのが分かる。それが心地良く、先程まで考えていた事が頭から吹き飛んでいってしまったようだ。
『とりあえず、明日から取り掛かるとしよう…』
男はのそのそとベッドに近付くとそのまま仰向けに倒れ込んだ。ホルスターから銃を引き抜くと枕の下にそっと敷いた。そして、ソーラの長い一日が終わった。
翌日、ソーラはいつもより目覚めの良い朝を迎える事が出来た。体の疲れもとれ、今ならどんな依頼でもこなす事が出来ると思ってしまうほどだ。
『酒の効果か…』
内容が伝わらない独り言を呟くとソーラは懐の枕の下から銃を取り出し、右の太股のホルスターにしまい込んだ。留め金をして準備を整えるとホテルをあとにした。ソーラは外に出ると丁度、従業員がバイクを持ってきた。ソーラはエンジンをかけると低みの効いた心地の良い音が辺りに響き渡る。ゴーグルをはめると、スロットルを回し、発進した。
ホテルを出発してから数十分…。目的地の前にソーラは腕を組み、佇んでいた。彼の視線の先にあるのは壁が石で出来ている巨大な建造物がある。ソーラは真っ直ぐ中に足を踏み入れると本の貸し出し口を通り過ぎ、更に奥の部屋に姿を消した。
部屋の中には一台のパソコンがぽつりと寂しくその存在感を放っていた。パソコンは調子が悪いらしく、起動出来ない。ソーラは嫌そうな表情を浮かべて画面を睨み付ける。
最初のコメントを投稿しよう!