自己中心的世界とエゴイズム

2/4
前へ
/24ページ
次へ
「以前君は、人間はみな平等だと言っていたが、本当にそう思うかい?」    蛍光灯から放たれる淡い光を浴びながら、男が言った。作業用のエプロンを着ており、染みになっている赤黒い物は血液か何かだろうか。周りを見回すと地下室のようにコンクリートに囲まれて薄暗く、やけに肌寒い。   「人間は生まれながらにして優劣が決定している。肌の色、目の色、髪の色。身長や体重だってそうだ。憲法では、全国民は平等であると謳っているが、奇形児や先天性障害を持った子どもたちはどうなる? 彼らに対しても、社会は平等だと言い切れるのかね? 人間が平等だという考えは、愚直で、排他的で、押し付けがましく、宗教じみたことだ。矛盾しているとは思わないか?」    男が、私の周りを歩きながら言った。どうやら、私は仰向けに寝かされているようだ。なぜこんな状況になったのかは覚えていない。ストレッチャーか何かの上に拘束されているのか、動くことも出来ない。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加