心臓の音

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 路地裏へと追い込まれた。目の前には、目するに3メートル程だろうか、高い塀が地面から垂直に聳(そび)え立っている。左右を見るが逃げ場は無い。袋小路である。    振り向くと、50メートル先の曲がり角から自動小銃を持った兵士が5人程現れた。いたぞ、そっちだ、という声が聞こえる。あの曲がり角を曲がったのが運のツキだったようだ。    俺は覚悟を決めて完全に向き直った。脂汗が背中を伝って流れ落ちた。心臓が尋常でないスピードで、まるでドラムのように鳴り始めた。血液が全身を駆け巡り、脳からはアドレナリンが分泌された。
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