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それでも、まだついてくる彼は
なにがしたいのだろう?
一定のスキマを詰めることなく歩いてついてくる
「なんなの、もうっ」
つぶやいてみたけど
答えなんか分かるわけがない
このままついて来られたら
朝まで歩かなきゃならなくなる
そんなに歩ければいいけど、もうムリだ
足が痛い。疲れた。もう膝が笑ってる
これが、最後のチャンスだ。
全速力で走って逃げよう
疲れもなにも吹き飛ばす直前
あいつの顔を浮かべて、逃げる勇気をもらう
そして、逃げようと足に体重をかけた。
その瞬間だった。
後ろから手を捕まれて、無理矢理走り出すのを止められた
「…………て……」
振り向くと、パーカーの男が
遠慮がちに……知らない男が掴んでる時点で遠慮なんてないんだけど
私の袖口を掴んでいた。
「まてよ。」
「嫌に決まってるでしょっ!」
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