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時間をかけるにつれて
だんだんと弱々しくなる夜人
倒れるな、もう少し
そんなテレパシーも意味はない
「……………」
「……。」
沈黙の二人の間
真夜中の住宅街に音はない
聞こえるのは、私の靴の踵と
夜人の足を引きずる靴の音
「見えたわよ。」
「……おー、ここまで来たら安心だな」
「そうね。」
12時を回ったのに電気の消えてないウチ
まだお父さんとお母さんは起きてるみたい
これなら、夜人も送ってもらえるよね
そうこう考えてるうちについて
門に手をかけて、開く
「少し寄って行きなさいよ
お茶くらいなら出してやるわよ」
「いや。俺は……」
「早くしなさいよ」
夜人の手を引くと
思ったよりもずっと弱々しく倒れ込んでくる
「ちょっと!夜人!」
「ん……。スマンな」
膝も笑いだす足で、必死で踏ん張る夜人
それを支えるように私も手を沿える
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