たこやきの金

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サファイアのような光輝く目にシルクのような滑らかな柔らかい毛。ほんのり高揚したピンクの艶やかな小さな鼻と肉球。 この世で一番美しい猫が今日もしゃなりしゃなりと宮殿を我が物顔で歩く。 大きなしっぽをゆっくりゆっくり左右に自慢気にふりながら。 毎日の食事はダイヤモンドとサファイア。クリスタルの食器に盛られた宝石をそれは多く食べた。食べる度に目は艶やかに輝き、毛は光を放ち風も無いのになびいた。 今はアラブの石油王に飼われてる。その前はイギリスの女王に。猫は世界中の宮殿を渡り歩いた。どれだけ可愛がられてもなつくことを知らず1ヶ月もたてばかってに姿を消して次の宮殿を探した。 猫は腹一杯ダイヤモンドを食べふかふかのクッションの上で毛繕いしながら思った。なんて退屈なのかしら。 思ってすぐに宮殿をあとにした。 猫の可愛い鼻は新しい宮殿への道をかぎ分けた。でも猫は別れた道を右にすすもうと一歩踏み出したが少し考えた。 すると何を思ったか左の道へ進んだ。右に左に大きなしっぽをゆっくりふりながら。猫の足はいつものようにしゃなりしゃなりとといった感じを忘れ、初めて小走りに不細工なステップを踏んで、どんどん加速した。 猫は興奮していたのだ。 知らない道に目をグルグルさせ毛を乱しながらほとんど転がるように跳ねて飛んで進んだ。 すると壁におもいきりぶつかった。オシャレな近代的な街にいつの間にかたどり着いていたのだ。ビルから男が飛び出てきた。猫を見るなり驚いた。なんて美しい猫だろう。
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