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僕の小学校から飼ってた大事なラブラドールの「マイク」は二年前白い電車に連れ去られた。
成犬になったマイクはあまりの見た目の優美さにモデル犬としての仕事をあたえられた。
マイクは戸惑いながらも毎日赤茶色の電車に小さな町まで運ばれ与えられた仕事をした。
ある日マイクが僕に明日から赤茶色のヤツ乗りたくねぇわ、と僕にポツリと呟いた。その時は僕は大学生で毎日赤茶色の電車が迎えにきてもイヤとは思ってなかった。
だからマイクに「決められてるんだ。乗らなきゃいけない。」と言った。
僕がマイクと言葉を交わしたのはそれが最後になった。
マイクはその次の朝から赤茶色の電車が迎えに来ても鼻で笑うだけになった。
僕がどうしたんだと尋ねても僕のほうをニヤリと笑うだけで何も答えなかった。
みるみるうちにマイクの額には「正」の字ができあがった。
白い電車が迎えに来た。
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