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「……おい、景時」
不機嫌そうな声音の混じる声に呼ばれて、景時は肩をビクつかせた。
「なっ、なな、何かな、ヒノエ君」
「何でそんなに隅っこにいるわけ?」
「えーっと…、それはまあ、色々とこちらにも事情が…ね。あはは…」
浴槽の中で前屈みになったまま、景時は苦笑に近い笑顔をヒノエに向けた。
強引にヒノエに引きずられるまま一緒に風呂に入る事となった景時。
さっさと頭や体を洗い終わって浴槽に浸かったヒノエとは違い、景時はノロノロと頭や体を洗って明らかに時間を延ばしていた。
そしてとうとう時間を延ばす術もなくなり、今に至る。
「……………」
ヒノエが無言で景時を見つめる。
「…な、何かな、ヒノエ君…?」
「お前、勃ってるだろ」
「!!!!!!」
ギクーッと景時は、バシャリと水
(お湯?)しぶきを上げて顔を真っ赤にさせた。
なんと身も蓋もない。
図星であった。
「やっぱりね。さっきからおかしいとは思ってたんだ。急に腰にタオル巻き出すし、浴槽に入ってからもずっと前屈みだし」
「………………………」
溜め息混じりに話すヒノエに、返す言葉なく、ただただ俯くばかりの景時。
確かに、誰が見てもおかしな行動をしていただろう。
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