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次の日。
私は家の近くの民家に来ていた。
どうやら食べ物を置いている物置に何かが出るらしいので。
正体がわからないため護符しか持ってきていない。
まあこういったことをするのは低級か中級くらいだから大丈夫だろうけど。
「雅様、いかかでしょか?」
私の後ろから物置を伺っている依頼人に振り返る。
「微弱ですが、妖怪であろう気配は感じます。まだ少しわかりづらいので、戸をあけてもよろしいでしょうか?」
「は、はい…」
依頼人はちょっと驚いたように私と物置を見比べた。
「ご不安でしたら家の中へお入りください」
「…はい。申し訳ありません、そうさせていただきます」
妖怪に免疫のない人には低級の妖怪でも怖いんだろうな。
「仕事しますか」
私はさっそく物置の引き戸を開けた。
「うわっ!?」
バッと何かが出てきてとっさに身構え、気配のする方へ視線を動かした。
「か、可愛い~」
出てきたのは子猫サイズの化猫だった。
化猫は足を一舐めしてから私を睨んできた。
しかし、キュルキュルと化猫のお腹から何かの音が聞こえた。
「にゃ~」
お腹が空いたのかその場にへたり込んでしまった。
「あらら。仕方ないな」
私はポケットに入れておいたクッキーを砕いて化猫の前にパラパラと撒いた。
「これ食べていいよ」
化猫は私をじっと見た後にクッキーを食べ始めた。
「これ食べたらこの物置から離れてくれない?この家の人が困ってるみたいなの」
私が近付いてしゃがんで話しかけると頭をあげて、口をモグモグさせながら私を見てきた。
「この裏手の山にはまだ木の実がいっぱいあるよ。そっちに移ってもらえないかな?ここじゃ危ないよ。人間は妖怪があんまり得意じゃなくて、すぐに退治しようとしちゃうから」
首を傾げてから私の膝に前足を乗せてきた。
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