プロローグ

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私は神谷麻柚(カミヤマユ)。 私は少し変わった仕事をしている。 それは。 「雅様!どうかうちの蔵に住む妖怪を退治してください」 妖怪退治。 人によっては祓い屋、なんて呼ぶ人もいるけど、似たようなものだ。 要は私が妖怪とか幽霊とか、そういった類に対抗する術を知っているってだけ。 近頃の人は妖怪や幽霊が見えなくなってきてて、そういった類に対抗する術も知らない人が多い。 だからちょっと前まではあんまり仕事がなかったんだけど、どうも最近妖怪たちの動きが活発だ。 仕事があるのは嬉しいけど、どうもしっくりこない。 さっき来た依頼人も、妖怪だと決まっていないのに勝手なことを言ってきた。 まあ調査くらいならしてあげるけど。 そう思いながら例の妖怪が出るっていう蔵を見に向かっている。 「その妖怪の被害を受けるようになったのはいつからですか?」 案内をしてくれる蔵の持ち主に一応色々と聞いてみることにした。 「それが、初めは蔵の中で音がする程度だったのですが、最近では物が別の所に移動していたり、壊されていたりと色々なことがおきております」 それって、泥棒とかの仕業じゃないかって考えないのかしら? 「妖怪であるという証拠や痕跡はありましたか?」 「はい」 おや?即答。ってことは本当に妖怪かな? 「それは一体?」 「必ず動いた物や壊された物のそばには紋章のようなモノが描かれているのです」 「…なるほど、わかりました」 紋章…。 妖怪は高貴や上級のモノは紋章や力を示す何かを残していくことがある。 意外と大物なのかも知れない。
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