旅立ちの日に

魔女の館

「魔女の館に誰か引っ越して来たんだ！」

教室は一瞬静まり返ったが、またみんなの声で賑やかになった。

「それがどうしたんだよ。」
「魔女にも家族ぐらいいるんだろ。」
「祐太朝から元気よすぎ。」

「いや、違うんだよ！昨日家ん中に荷物入れてるの目撃してさ、ガンミしてたら魔女が出てきてさぁ！」

ふむふむ…。

「来週からうちの孫が転入するから仲良くしてやってくれって…！」

「え？魔女の孫？」

「そう！しかもうちのクラスにっ！」

ここまで祐太が説明して、みんなもやっとテンションが上がった。

転校生ってちょっとワクワクするな！魔女の孫はどんなだろう？仲良くしてやってくれったって、あの魔女の孫じゃやっぱり変わり者なのか？

教室はいつもの朝より騒がしくなった。

誰も担任が入って来てることに気付かない。

「おーい…おはよー…朝の会始めたいんだけどー。」