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「ご飯の時間でしょー!」
海岸に、誰か大人の声が響いた。
「はぁーい!」「はーい」「えぇー?」「お腹すいたぁー!」「また魚だろー?」「ステーキ食おうぜステーキ!」
子供達が一斉に、その声に返事と文句を垂れて家へと戻って行く。
「ご飯食べたらまた集合な!」「もちー」「もっと材料探してくるよ!」「旗も必要だよな!」「もち!もち!」
元気に叫ぶ最後の声の集団が遠ざかった後、トオルはうずくまっていた木の影から海岸を盗み見てみた。
もう、海岸には誰もいなかった。誰も、いなくなった海岸。化け物もいない。
トオルは立ち上がってまた歩きだした。化け物も誰もいない、ひとりぼっちになれそうな方へ。
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