黒の忍

3/9
282人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
' 「……風魔…」 ポツリと夜空に向かって呟く。 所々雲はあるものの、 かえってそれは 月を中途半端に隠して 濁った美を醸し出していた。 上田城の遥か高く屋根の上。 俺様は毎日此処で 見張りをしている。 敵襲があったら すぐ知らせないといけないしね。 己の主、真田幸村を守るが為に 毎夜毎夜、 つまらない見張りを続ける。 …風魔小太郎。 ついこの間逢ったばかりの 伝説の忍。 俺様の情報網を舐めてもらっちゃ困るけれど 風魔小太郎の存在。 これの決定には流石に驚く。 忍全員の模範とも言える 風の悪魔は無口で素早く、情の色が少しも見えない 冷徹にも見える男だった。 ,
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!