282人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
'
「……風魔…」
ポツリと夜空に向かって呟く。
所々雲はあるものの、
かえってそれは
月を中途半端に隠して
濁った美を醸し出していた。
上田城の遥か高く屋根の上。
俺様は毎日此処で
見張りをしている。
敵襲があったら
すぐ知らせないといけないしね。
己の主、真田幸村を守るが為に
毎夜毎夜、
つまらない見張りを続ける。
…風魔小太郎。
ついこの間逢ったばかりの
伝説の忍。
俺様の情報網を舐めてもらっちゃ困るけれど
風魔小太郎の存在。
これの決定には流石に驚く。
忍全員の模範とも言える
風の悪魔は無口で素早く、情の色が少しも見えない
冷徹にも見える男だった。
,
最初のコメントを投稿しよう!