涙の電話

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〈大西さん、私……頑張って生きてます。 そりゃあ、負けそうになる時もありますが、出来るだけ前を向いて、一生懸命に生きてます〉 勇夫は黙って、望美の言葉を聞いていた。望美の言葉一つ一つを噛み締めながら、胸に刻みながら。 〈でも私……自分の事しか考えていませんでした〉                         「えっ?        どういう意味ですか?」             訳が分からず、勇夫は聞き返した。                    〈大西さんが毎日をどんな気持ちで過ごされているのか、どんなに心の中で私に詫びながら、毎日を暮らされているのか、自分で精一杯で、ぜんぜん考えていませんでした〉
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