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〈私こそ、謝らなきゃいけないことがあります。
大西さんが毎日のように謝罪の手紙を送り続けていた事、母がずっと受け取りを拒否していた事、ぜんぜん知りませんでした〉
「いや、でもそれは――」
何でもないことで、自分のしてしまったことに比べれば、どうって事ないことだ。
そんな事を言い掛けると、望美が勇夫の言葉を予想していたように、言葉を挟んだ。
〈それに、無理をしながら毎月盲学校に寄付し続けていること、好美さんに聞きました〉
大西は作業着の内ポケットから、先日に送られてきた盲学校からの手紙を取り出した。
毎日自分への戒めのように、忘れずに持ち歩いている。
「妻が?」
(まさか好美が天沢さんに会っていたなんて知らなかった)
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