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「あのぉ。信号がもう青になってますよ」
その声に驚き急いで横断歩道を渡ろうとすると、腕をいきなり引っ張られ、さらに言った。
「もうダメです。赤に変わってしまいます」
信号を見ると、青信号が点滅して、後に赤に変わった。
振り返ってみると、黒いスーツに、黒のサングラス、黒い帽子を被った怪しい男が立っていた。
望美は少し驚いたが、男は口笛を吹きながら交差点を左に曲がった。
(お礼……言いそびれちゃった)
そう思って下を見ると、一枚の名刺が落ちていた。
拾ってみると、『神崎探偵事務所 神崎喜一』と書かれていた。
さっきの人が落としたのかもしれないと、とっさに思い、名刺を鞄のポケットにしまい、再び信号を見ると、いつの間にか青に変わっていた。
急いで横断歩道を渡ったその時。
横から猛スピードを出した車が、望美に向かって走ってきた。
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