転校

9/9
前へ
/148ページ
次へ
「お父さん帰ってきたみたいね。         望美、お父さんを出迎えてあげて」 「はぁーい」 「ただいまぁ。 望美、どうだった?」 父の克幸は望美に鞄を預けながら聞いた。 「お帰りなさい。    新しい友達ができたよ」 克幸の額から汗がにじみ出し、走って帰ってきたのか、息切れもしている。 どれだけ心配だったかがよく分かった。 「そうか!良かったじゃないか」 克幸と望美は台所に行き、夕食をとった。 いつもよりも会話が弾む。 どこにでもある家族の風景。 それが一瞬の出来事を境に、その光景が夢のように感じることになるとは、まだ知るよしもなかった。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

973人が本棚に入れています
本棚に追加