第一話~静寂~

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  そう言って、入ってきたのは看護婦さん。       「今日は天気がいいわね。窓開けましょうか。」       「……うん」           その人は、私の愛想の無い返事にニコリと笑った。         「私の名前覚えてくれた?」       看護婦さんが聞いてきた。         「…知らない」         首を振りながら小さな声で言う。         「そっか…残念。じゃあ今覚えて?私の名前は水橋朱希。朱希って呼んでほしいな。」       「朱希…さん?」       「はい、何かな?」       「最近此処に来たばっかりですよね?」       「そうだね…まだ新人さんかな。」       「…………」       「え…っと、何で黙っちゃうかな?」         この人…面白い。   そう思った。     朱希さんが窓を勢いよく開ける。     風で、カーテンが靡いた。     窓から入った光が、白いナース服に反射した。   朱希さんが…       輝いて見えた。         あんな風に笑えたら…    自分を素直に出せたら…       そんな事を思いながら、窓の外を見上げる。          この空の色は嫌い。     だけど…………       憧れていたんだと思う。      
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