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そう言って、入ってきたのは看護婦さん。
「今日は天気がいいわね。窓開けましょうか。」
「……うん」
その人は、私の愛想の無い返事にニコリと笑った。
「私の名前覚えてくれた?」
看護婦さんが聞いてきた。
「…知らない」
首を振りながら小さな声で言う。
「そっか…残念。じゃあ今覚えて?私の名前は水橋朱希。朱希って呼んでほしいな。」
「朱希…さん?」
「はい、何かな?」
「最近此処に来たばっかりですよね?」
「そうだね…まだ新人さんかな。」
「…………」
「え…っと、何で黙っちゃうかな?」
この人…面白い。
そう思った。
朱希さんが窓を勢いよく開ける。
風で、カーテンが靡いた。
窓から入った光が、白いナース服に反射した。
朱希さんが…
輝いて見えた。
あんな風に笑えたら…
自分を素直に出せたら…
そんな事を思いながら、窓の外を見上げる。
この空の色は嫌い。
だけど…………
憧れていたんだと思う。
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