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「居ない……」
今日いつものように宿に戻るとあいつがいなかった。
アルとはいつも別の部屋にしている……
何処から聞きつけたのか
情報を得たのか…それはわからないけど
いつも、軽いため息を付き部屋に入る俺を
『お帰り♪おちびさん♪』
って軽く笑いながら迎えてくれる。
でも、今日はその姿がない。
あいつがいつも座っている窓べの椅子。
なんだか今日は寂しく感じる…
でも、なんで俺はこんなに寂しい……?
あいつが毎日来るのも
そっと唇を重ねられるのも
迷惑だったハズ……
でも、目が探してしまう…
胸が苦しい…寂しい…
これが恋……?
お前はいつも居た。
だからわからなかったのかもしれない……
好きだ好きだ好きだ好きだ
「何処いったんだ…」
思わず声をだしてしまった
したを俯いていると声がした………
『オチビさん?そんな顔し
てどうしたの?あっ…今日
は遅れてゴメンね?』
顔をあげるとつめたい水が流れ落ちた。
「涙……?」
それは涙だった…
ぽろぽろと流れ止まらない。
『オチビさん?』
心配そうにあいつは俺を見る。
「馬鹿ッ…や…ろう」
涙でうまく繋がらず途切れ途切れ言うと暖かいもので俺は包まれた…
『ごめんね?』
あいつは此処にいる。
いつもは離れているけど、
俺には此処しかない。
代わりなんてない。
君の居場所は
俺の居場所…
END
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