蕾つき、花開き

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桜の精霊と名乗る青年と出会ってから早一週間が経った。 咲羅は自分にしか見えないらしいその青年にうんざりしていた。 『それでですね、その川の精霊というのがまた面白くて』 くすくすと笑いながら咲羅の前を歩く。 咲羅は気にせずに歩こうとするが、目の前を浮遊する青年にどうしても気を取られる。 「桜呂…だまらないと怒るわよ」 咲羅が言えば青年は口を閉じた。 桜呂、それが咲羅が与えた名だ。 『うるさかったですか』 「めざわり」 咲羅はショックを受けた様子の桜呂をみて、かすかな笑みをこぼした。 『ひどいです』
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