5人が本棚に入れています
本棚に追加
桜の精霊と名乗る青年と出会ってから早一週間が経った。
咲羅は自分にしか見えないらしいその青年にうんざりしていた。
『それでですね、その川の精霊というのがまた面白くて』
くすくすと笑いながら咲羅の前を歩く。
咲羅は気にせずに歩こうとするが、目の前を浮遊する青年にどうしても気を取られる。
「桜呂…だまらないと怒るわよ」
咲羅が言えば青年は口を閉じた。
桜呂、それが咲羅が与えた名だ。
『うるさかったですか』
「めざわり」
咲羅はショックを受けた様子の桜呂をみて、かすかな笑みをこぼした。
『ひどいです』
最初のコメントを投稿しよう!