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咲羅と桜呂の思いが通じ合ってから、はや一月が過ぎようとしていた。
既に桜の季節は終わりを迎えている。
「桜…ちっちゃうね」
『命あるものに終わりはつき物ですよ』
ふと咲羅は桜呂を見た。
ではこの青年の命もいつか尽きてしまうのだろうか。
自分だっていつか死をむかえる。
そのときになったら、彼はどうするのだろう。
「ねぇ、桜呂」
『はい』
「もし私が今死んだらどうする?」
きょとんとして桜呂は咲羅を見つめた。
『あなたが死ぬ…?』
「もしもの話よ」
『そう…ですね』
桜呂はゆっくりと目を閉じ、しばらく考えると咲羅を見つめた。
『きっと、私も枯れます』
「桜呂…」
『あなたは私のすべて…だから、あなたがいなければ私もいないんです』
あなたがいないと私は生きていけないんです。
桜呂はそう咲羅に告げた。
きゅっと思わず咲羅は桜呂を抱きしめた。
驚く桜呂を見てくすくすと笑い出す。
「そう…よかったわ」
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