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青年はゆっくりと木の枝に腰掛けた。
『私はこの桜の木に宿る精霊です。名はありません』
「精霊?」
咲羅は首をかしげて青年を見た。
青年はくすっと笑えば、咲羅を見た。
『ところで、貴女はなぜ泣いていたのですか』
青年は不思議そうに咲羅を見つめている。
「振られたのよ…」
『振られた?先ほどの男性にですか』
咲羅は青年の言葉にいらつきを感じた。
デリカシーがない。
咲羅は青年に背を向けた。
「あなたには関係ないわ」
『私はね、貴女の泣き声によって目覚めたのですよ』
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