花散り、蕾つき

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青年は咲羅に近づいていく。 青年が近づくにつれほかの精霊達は離れていった。 『貴女はごくまれにみる力の持ち主のようですね』 『桜の主よ、どうだろう。久々に外にでたのだ』 『遊びたいな』 精霊たちの言葉を聞く青年はうなずいた。 青年がうなずけば精霊は喜んでその場から姿を消した。 残ったのは咲羅と青年のみである。 「じゃ、私は帰るから」 そう告げて咲羅は帰ろうとした。 もうこんな場所に用なないのだ。 早く帰ってベッドで眠りたい。 いやな記憶など寝て忘れるに限るのだ。 『私もお供します』 「はぁっ?!」 思わず咲羅は振り向いてしまった。 青年はにこにこと笑いながら咲羅を見つめている。 『貴女に興味を覚えました。かまいませんか?』 「いやよ」 咲羅はそう吐き捨てれば、タッと駆けだした。 青年を振り切るためである。 .
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