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「りんちゃんはイカヤキが好きね」
去年、毎年のようなその科白を、これまた毎年のような、イカヤキを食べてテカテカした唇で、おばあちゃんは言った。
「うん」
香ばしくて焦げ臭い匂いを、髪とか服にいっぱい染み込ませていた私達は、帰り道もずっとイカヤキくさかった。
おばあちゃんは上品な、ピンク色のカーディガンと茶色のスカートを着て、黒くてひらべったい靴を履いていた。おばあちゃんの洋服姿を、私が見るのは一年に一度だから、私は洋服のおばあちゃんを見ると、春が来たな、と思う。
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