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「なんで? なんでビビらないの? この姿見て……」
リュウセイはバックミラーを見た。だがそこに映っていたのはいつものリュウセイ。
少しの間沈黙が続いた。
「スイマセンでしたー!」
リュウセイはとりあえず大声で男に誤り、ワゴン車を急発進させた。
男は走って追いかけてきたが、しばらくすると、ワゴン車の速さに追跡を諦めた。
するとすぐにリュウセイの住むアパートに到着した。
リュウセイは辺りに人がいないことを確認すると、ノムを抱えてダッシュでアパートへと駆け込んだ。
部屋の中、棚の上やタンスの中がきっちりと整理されていて、まるで一人暮らしをしている男の部屋とは思えないほどだ。
「おぉ、またこの視界からみるお前の部屋は別世界だなぁ!!」
ノムは満面の笑みで、小さな足を器用に動かし、リュウセイの部屋を駆け回っている。ふと上を見上げると、額に入った1枚の賞状がノムの目に入った。
「なぁ、お前賞状なんか持ってたのか? なんの賞状だ?」
「あれは、18年間大きな風邪をしなかった、っつう賞状。それ以外にはなんもねぇ。
確かルーフももらったって言ってたなぁ」
リュウセイは椅子に腰掛け、コーヒーを一杯マグカップに注ぎ、オレンジジュースをペットボトルの蓋に注いだ。
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