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コーヒーは自分のもの。蓋に注いだオレンジジュースは、棚の上に腰掛けているノムに渡した。
ピーンポーン
2人が気を許して雑談で盛り上がっていると、突然インターホンが鳴り、玄関が開いた。
「リュウセイいる? 私、ルーフだけど……入るわよ」
声の高い女性が、スタスタとリュウセイのアパートへ入ってきた。
それにリュウセイは慌て、オレンジジュースを飲んでいるノムを無理矢理棚に押し込んだ。その時オレンジジュースはこぼれていた。
そしてルーフは、リュウセイたちがいる部屋の入口である、モヤッとしたガラス張りのドアの、ドアノブに手を掛けた。
リュウセイはノムが棚から出ないように、引出を手で押さえながら入口の方を振り向いた。
「……あ…………」
リュウセイの額からは、エメラルドグリーンに輝く大量の冷や汗が流れ出した。そう、ドアに映っていたのは、ワゴン車のときと同じエメラルドグリーンの鱗で埋め尽くされたリュウセイの姿だった。
それを見たリュウセイは、ルーフの驚く顔を想像し、怖くて下をうつむいた。
ガチャ……
ドアが開き、ルーフが入ってくるのがわかった。
「リュウセイ? どうしたのその汗」
リュウセイの頭は真っ白になった。
イラスト⇒水麗月華様。
【ティロピノ・ムリウィンド(ノム)】
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