依頼

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ジェットコースターより過激に、暁の運命は希沙夜との邂逅で大転回している。 数ヶ月前。暁はある化け物に魅入られ、生きているとも死んでいるともつかない状態で異空間に閉じ込められていた。 そんな夢うつつの世界に、希沙夜は突如眩く降臨したのだ。 『女神だと思ったら、男だったんだよな~』 そして化け物との戦いの末、暁を解放してくれたのだ。 以来、希沙夜に借りを作ったのだからと、暁は彼のアシスタントを買って出たのである。 『こいつが命をはった分はぜってー返す……守ってやるんだ』 知らず拳を握りしめる。 軽薄そうに見える暁は、真実は義に熱い男だ。そのうえ、眼前のしなやかな肢体を持つ少年を、愛おしい『女の子』として意識し始めている。 「これが問題の雪原邸の見取り図だ」 「って、もお?」 暁がほんのちょっとだけ、もの思いに耽った短い時間。残りも食べ終えた希沙夜は、別の手提げから愛用のノートパソコンを取り出して開き、図解を見せてくれる。 「ってか、早っ!いつもだけど早っ!」 「ぼくのことはいいから、これを見てくれ」 ライブカメラ画面を指し、仕事熱心な少年がささやかに唇を尖らせた。 指された画面内には、かなり大きな日本家屋がどんよりと灰色の闇に浮かび上がっている。 「これ昨夜の?」 「いや。隠国(こもりく)の精霊さん達がライブで撮影してくれているんだ」 「今めっちゃ晴れてんぞ。マジヤバくね?」 「うん。とても危険な状態なんだ」 言いながら、希沙夜が深い色の瞳を暁へ向ける。 「あん時の俺のヤバさと似てる?」 コクリと、黒髪の少年が頷いた。
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