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黙々とひたすらに歩みを進めて行くと、
「おはよう」
「オハヨー」
聞き慣れた朝の挨拶が愁の耳へと入ってくる。愁はあまり挨拶をする生徒ではなかった。バカバカしいというかくだらないと言った気持ちが心のどこかにあるからである。
気付けば、バス停へと着いていた。少し色あせていながらもどこか愛らしさのある黄色のベンチがちょこんと道に座っている。
そこに腰掛けると不思議な安心感に包まれる。だからバスを待つ時間は、愁にとっては苦痛ではなかった。
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